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outube上に『Type beats』というタイトルの動画を見かける機会は最近多くなってきましたよね。今回はそのタイプビートの話です。今回は、寡聞ではありますが、実際にタイプビートを利用している自分の視点で、タイプビートについての活用方法を話していこうかなと思います。

まずはじめに、タイプビート(タイプビーツ)とは何かという話です。定義的な疑問についてお答えしましょう。

タイプビートとは?

タイプビートとは「〇〇っぽいビート」という意味です。

例えば「Drake Type Beat」とは「Drakeっぽいビート」という意味です。
もしも、Chance The Rapperがラップしそうなトラックが欲しい場合は「Chance The Rapper Type Beat」とYouTubeで検索してビートを探すわけです。アーティスト名以外にも、楽曲名に絞って「This Is America」っぽいトラックを探したければ「This Is America Type Beat」と検索すればいいのです。[引用:https://mcknsy.wordpress.com/2019/01/29/type-beat-explained-in-japanese/ ]

このようにビートを探しているラッパーが検索する手段としてtype beatsが主流になっています。自分の好みのビートを的確に見つけることができます。

あるアーティストの事例

タイプビートで音楽をやるミュージシャンは、最近では珍しくはありません。例えば、全米シングル・チャート最長1位の新記録を樹立したLil Nas Xの「Old Town Road」のビートは19歳のオランダ人プロデューサー、Young KioがBeatStarsで販売していたタイプビートです。

他にもFetty WapJoey Bada $$、Bryson Tiller、Young MAはすべて、ウェブで選別されたビートを使用してヒットを記録しました。A$AP Rockyは、YouTubeで「A$AP Rocky type beat」を検索して、自分の曲のトラックを発見したことを認めました。

また、Desiignerの「Panda」は”Meek Mill–Ace Hood–type beat”のビートを200ドルでリース契約し、購入して作られています。現在、Spotifyでは8億回再生、youtubeでは5億回再生というヒットを叩き出しています。

また、Eli Noirというアーティストはタイプビートを用いて楽曲を発表しているアーティストですが、楽曲「Wonder Why」は 多方面から評価され、『nourish.』『aviencloud』などの有名サブミッションメディアのピッチにも成功しています。実際にフロアでもかかることもありますし、多方面で話題になっているようです。

タイプビート文化はどのように拡大したか

ではタイプビートはどのようにして拡大し、注目されてきたのでしょうか?

2016年から本格的に拡大

以下のグラフはGoogleTrendからの人気度の動向です。このグラフからは2013年からタイプビートは拡大していったことがわかります。Desiignerの「Panda」がリリースされた2016年あたりから一気に注目度が高かったとも言えます。2017年からは横ばいという感じですね。

一方日本のデータはかなり不明瞭です。0のところもあれば100の値まで達しているところもあります。検索数が圧倒的に少ないということが原因としてあげられるかと思います。人気度も低く、日本ではまだ浸透していないのでしょうか。日本と海外ではタイプビートへの認識に差がかなりあるようです。

個人クリエイティブ・DIYの環境が整ってきている

拡大の大きな一員として、タイプビートで音楽をやる環境が整ってきていることがあげられます。BeatStarsAirbitのビート販売サイトが充実化し、ライセンス問題や決済など、多くの課題が解決されています。

デジタル・デストリビューターの登場

さらには、個人単位でクリエイティブできてそれを発表する土台が出来上がってきたからだと思います。そこで象徴されるのがデジタル・デストリビューターの登場です。

デジタル・デストリビューターとは、音楽のリリースを代わりにやってくれる代理店のようなものです。そのサービスに登録し利用料を払えば、全世界の多くのプラットフォームにて楽曲をリリースできるのです。世界で代表的なデジタルデストリビューターは、AWAL、BELIEVE、LANDRなどがあげられます。

ミュージシャンがデジタル音楽配信について知る必要のあるものすべて | LANDR Blog

音楽配信は、完成したあなたのレコードと将来あなたのファンになる人との架け橋です。 配信は 音楽をプロモーションする過程において非常に重要な部分です。 実際の店舗にCDやレコードを販売する音楽流通業者は、 レコードレーベル や独立系アーティストのための唯一の音楽流通の方法でありました。 しかし、近年デジタル音楽配信が主流となってきました(日本は少し例外ですが) …

僕の感覚では、一番最初に日本に上陸したのが「Tune Core Japan」だったと思います。その頃僕は高校生で、『自分の曲がiTunesとかに載るの!?』と驚嘆したのを今でも覚えています。

現在ではTuneCore Japanの他にBIG UP!、Frekul、amuse、LANDRなどがあります。ここら辺の話とかもぜひまた今度したいなと思ってます。(実際に使ってみてどうだったかとか)

アーティストがタイプビートを広めてくれる

また、拡大の一因としてあげられるのがタイプビートを使用したアーティスト経由の認知です。先ほどgoogletrendでも示しましたように、Desiignerの「Panda」がリリースされた2016年あたりから一気に注目度が高まっています。

実際のタイプビート活用方法

では実際には、どのようにタイプビートを使用し、自身の楽曲を披露すればよいでしょうか?ここからは実際のタイプビートの使用例を体験談も交えながら説明していきます。大まかに言えば下記の手順で楽曲をリリースすることになります。まずはトラックを選ぶ作業からです。

  • 曲・トラックを選ぶ
  • ライセンス購入
  • リリース

見つけ方

では、どうやってタイプビートの動画を探すのでしょうか。僕の場合はYouTubeでひたすら探します。『好きなジャンル・アーティスト+ type beats』と検索すると動画がたくさん出てきます。やっぱり自分の理想の音を見つけるのはなかなか難しくて。100個動画みて1つあればって言う感じの確率ですね。だから、今YouTubeに存在するタイプビートの動画は全部みたんじゃないかってぐらい。そんな感じの勢いと熱量でやってます。笑

https://mcknsy.wordpress.com/2019/01/29/type-beat-explained-in-japanese/

YouTubeで気に入ったタイプビートを見つけたら、その動画の説明欄に記載されている購入リンクからBeatStarsAirbitといった、ビート販売サイトへ行き、そこでビートをすぐにダウンロード購入することができます。

最近僕は、BeatStarsから直接音源をディグルこともあります。ある程度好きなトラックメイカーやジャンルはわかってきたので、フォローやライクした結果から生まれる「フィード」をみて新しいトラックに出会っているという感じです。

ライセンス契約の仕組み。

どのライセンスが良いかは自分のスタイルによって分けましょう。大概はこのようなプランです。

  • Non-Exclusive ($24.99): MP3+使用制限あり
  • Premium Lease ($34.99): MP3+WAV+使用制限あり
  • Trackout Lease ($69.99): MP3+WAV+Stems+使用制限あり
  • Unlimited Lease ($199.99): MP3+WAV+Stems+使用制限なし
  • Exclusive (最高付け値): 独占使用
beatstarのライセンスはこのようになってます
  • 『今はお金がないけど試しにリリースしてみたい』という人はNon-Exclusiveやbasic plan
  • 『再生回数が見込めてライブでも演奏したい』という人はpremium planを
  • 『排他的に、独占して楽曲を作りたい。』そんな場合はExclusive planを選びます

それぞれ目的に見合った値段なので負担も少ないし負担も少なく楽曲制作に取り組めます。

上のプランの中にある、Stemファイルとは、パラデータでベースやドラムなどのファイルがまとまっているデータです。本格的にリミキシング、マスタリングしたい人におすすめです。

Stemファイルはマルチ・チャンネルのオーディオファイルです。例えばベース・ドラム・ボーカル・メロディといったように、ひとつのStemファイルの中には4つの音楽要素が含まれます。各エレメントに対して操作を加えることができるので、これまで不可能だった方法でのミックスが可能です。[引用:https://www.native-instruments.com/jp/specials/stems/]

僕の場合ライブでも使用したいって言う理由で大体真ん中のプランを選ぶことが多いです。

一つここで生まれる大きな課題が、そのトラックが独占的じゃないことです。独占的じゃないからこそ安い値段で低価格で利用できるのは確かなんですけれども、やっぱり自分以外の人が同じトラックを使って曲を作っているとShazamも難しくなるし、トラックが唯一のものではないということで気持ち的にも不安な部分もあります。特に怖いのはコンテンツIDや著作権を登録する時です。ちょっとトラブルが起きそうな予感もしてます。ライセンス書をしっかり読んで対処したいところです。

権利管理は全てライセンス書で

ライセンスはすべて英語なので解読する必要もあります。でもGoogle先生で大丈夫。ライセンス書には、使用方法やライセンス期間の明記、著作権が書かれています。

実際のライセンスシート

そして決済はPayPal、もしくはクレジットカード。僕は全てPayPalでおこないます。

タイプビートから見た世界のトレンド感

僕は新しいもの好きで、フランク・オーシャン『blonde』を聴いた時のような「今まで聴いたことのない新しさ」はもちろんだけど、EDMを初めて聴いた時のような「音色の新しさ」を常に探求しています。だからタイプビートでトラックを探すときも既視感を感じさせない新しい音を探しているのですが、そこから今はこういう音が流行ってるんだなというのが次第にわかるようになってきたんです。僕の個人的なものですが、タイプビートを通じて感じたトレンド感を以下にまとめていこうと思います。

タイプビートといえども、かなりの種類のジャンルが混在しています。前提として話しておきたいのは、僕の場合は「trap」ではなくて、R&Bフレイバーがあるものや、ポップス寄りのものをチョイスするので、話の軸としてはR&Bよりのタイプビートになっていくと思います。

[2017] 『trap』や『Old school Rap』Drake など

2017年ごろ、ちょうど僕は高校生でしたけど、そのころの感覚でいえば、DrakeやJ coleのような『trap』や『Old school Rap』というジャンルが主流だった気がします。当時はR&B系のビートに特にアーティストの名前はなく、『R&B type beats』『emotional R&B』という表記が多かった気がします。タイプピーツで探せるものと言えば、トラップ系のヒップホップのみ。その時から僕は力強いヒップホップではなく、生音を強調したオーガニックなR&Bをやりたかったので、ビートを探すのにはすごい手間がかかりました。

2004年からのもっとも人気なキーワードは「drake」「future」「j cole」 などですね。このアーティストたちは、タイプビートでは殿堂入り、定番となっています。

[2018]K-Popとchillの台頭

2018年以降はK-Popとchillの台頭がかなり顕著に見られます。その頃からビート× R&Bみたいな構造のビートが増え始めた気がします。DEAN typeやCrush typeのタイプビートが出始めてきました。 今現在ではpH-1 や Sik-K、GroovyRoomなど、k-popビーツはかなり増えてきているなと感じています。

この動画タイトルは2019になっていますが、実際には2017年に発表されたものです。常に検索上位にするために『2019のトレンドっぽい』という意味でタイトルテキストを切り替えているようです。当時はタイプビートという文化も浅く、単に『Insturumental』と表記されることも多かったですね。

よりオーセンティックなR&Bも

また、同時期にはアンビエント寄りではあるけど、オーセンティックなR&B、インディ・DIYを感じるギターなど、そういったビートも増えてきました。Daniel Ceasar, SZA, Khalidなどをよく目にします。

[2019]アフロビート、シティーポップの隆興

現在のトレンド感(2019年上半期)でいえば、J-Pop type beatsもかなり増えてきてると実感します。多分シティーポップが海外に再評価されている影響なのかなと。以前はCityPopのビートはほぼ無かったんですよ。

さらに2019年に入ってからはアフロビートが多いなと思っています。アフリカの系の音楽ですね。グローバル化による地域性の再発見がタイプビートにも表れているようです。

豊かなタイプビートを提供するチャンネル

その中でも、有名なタイプビートチャンネルとはどこでしょうか。僕の感覚では、THAIBEATS,dannyebtracks,Mantra,The Beat Plugなどが大きいチャンネルだなという認識があります。更新頻度高く、毎日投稿の勢いです。最近では、ソウル(韓国)のビートメイカーにも注目が集まっています。mixtape seoulです。動画が上がれば、毎回10万回はすぐに突破しているなという印象です。周りのラッパーもこのトラックメイカーの楽曲を使ってることも多く、注目度は高いと思います。

タイプビートは没個性的か?

〜っぽいビーツ、というと没個性的で、パクリのように聞こえるかもしれませんが、そんなことはないと思っています。特に音数が少ないものは、ある程度のテンプレートがあるから、表面的に似てしまいます。でもそこにメロディーと自分の言いたいことや歌心を乗せれば自分の世界観になって、それは唯一無二のオリジナルになると思うんです。タイプビートを使ったからといってそれは偽物ではないんです。見るべきポイントはタイプビートか否かではなく、その人が伝えたいことや熱量そのものだと僕は思ってます。

タイプビートはジャンルそのものが融解しうる進歩的なクリエイティブ

タイプビートが出始めた頃は、国境を超えて、知らない人が作ったビートで音楽をやるということには忌避感がありました。如何せん、概念が新しかったですから。でも、こういった分業制ポップスの概念を進歩させ、DIYの視点から、様々なアーティストが多様な価値観と共に、クリエイティブできるっていうのはとても素晴らしいことだと思いますし、いい流れだと思うんです。

僕がタイプビートで楽曲を作る時に意識していることは、ブラックミュージックやEDMも関係なく、自分自身の感覚とクリエイティビティで新しいものを創出する事です。ビートに何らかのトリートメントを加えないと、生のままじゃ美味しくないんです。ジャンルそのものが融解した、ミックスドされた、新しい音楽を作るんです。特に僕ら世代はミックスマスターですから。たくさんのツールを使っていろんなジャンルの境界線を溶かして、また縫合していくんです。

集合知を最大限に生かせる

タイプビートは、ある意味「分業する」ことによって、自分が特化した分野に集中できるんです。トラックメイカーは別にいて、自分が歌詞とメロディーを作る。カニエ・ウェストのアルバムだって何十人っていうプロデューサーが参加しているけど、カニエ・ウェストの作品じゃないですか。そうやって様々プロデューサーのトラックを自分の知見とセンスでミックスするんです。そうやって生まれる集合知を最大限に生かせるのがタイプビートです。

アマチュアレベルから参加できる

またアマチュアレベルから参加できるのもいいポイントです。従来のやり方では、スタジオレコーディングが主流で、それをするために資金やメンバーを集める必要がありましたから。でもタイプビートでは不要です。自分が思う新しいアプローチをインディペンデントなスタンスでクリエイティブ出来るのです。

最後に

僕は楽器も弾けないし、楽譜も読めないけれども、こういうやり方だと音楽を作れるんです。楽器ができないなりの音楽のやり方がここにはあります。iPhoneやパソコン1つで自分の声入れて自分の思想や自分の世界観をその中に打ち込むんです。とりあえず、何かやってみようという気概で、タイプビートに挑戦してみてください。才能の引き出しを開けるんです。自分の信念を持って、自分のやりたいことをちゃんとわかって、何かを表現する。そうやってクリエイティブしたものは必ずオリジナルだし、唯一の音楽になるはずです。

okkaaa
1999年生まれ、19歳。 音楽クリエイター、ライター/フォトグラファー。

若干19歳ながらラッパー/トラックメーカー/ライター/フォトグラファーという様々な側面を持つ今期待のマルチクリエーター。現在は情報系の大学に通う大学生。 2017年にファーストシングル「Lo-Fi」を発表すると、早くもSpotifyのNewEraHipHopに選出。その後も、1st コラボEP「younghood」を発表し、2019年1月リリースの「シティーシティー」はSpotify、AppleMusic他多数の配信サービスにて多数のプレイリストに選出された。その後もSpotifyのバイラルチャートにランクインするなど今期待のクリエイターである。オーディション『TOKYO BIGUP! 2019』では審査員特別賞を獲得。